私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
公益財団法人納税協会連合会会長賞
誰かを支える

京都府立西舞鶴高等学校 1年
吉岡 連

 本は、僕たちに新たな世界を見せ、多くの知識を与えてくれる。だから、僕は本が好きだし、そんな本がたくさんある図書館も好きだ。 図書館では、貸出期限はあるものの、そこにある全ての本を、無料で、自由に読むことができる。 これらは当然のことだが、よく考えてみると、不思議なことでもある。普段はお金を払って買う本を、「無料で」利用できるというのだ。図書館は地方自治体が運営していることが多いし、 やはり税金のおかげなのだろうか。そう思って、調べてみた。

 僕が住んでいる京丹後市の、令和五年度一般会計予算に関する資料を読んでみると、たしかに「図書館管理運営事業」という名前で図書館のために税金が使われていた。その金額は、七千七百五十五万四千円。 ちょっと想像がつかないような額だと思った。これまでほとんど意識していなかったが、こうしてリアルな数字で見てみると、改めて図書館が無料で使えるありがたみや税のすごさが感じられる。さらに、市の資料には、 この約八千万円を何の目的でいくら使うのか、内訳も書かれていた。職員の方に払うお金や、本・雑誌・新聞を購入するための費用、さらには本の貸出・返却などに使う図書システムの利用料まで、たくさんのところに税金が使われていた。 みんなが快適に利用できるように、税金によって細かくサービスが整備されていたのだ。

 ここで、少し考えてみよう。本を読みたいけれど、お金がないので買えない、という人がいるとする。自分のお金を使って、この人に本を買ってあげられるだろうか。僕はできないかもしれない。少なくとも、多少ためらうはずだ。 見知らぬ人のために自分のお金を気前よく使える人は、そう多くないと思う。一方、はじめにも書いたように、図書館のいいところの一つは、無料であるところだ。つまり、お金がない人も、たくさん本を読むことができる。 そして、図書館が無料なのは税金のおかげだった。自分のお金で他人にものを買うというのは難しい行為だと思っていたが、なんと税金を払うことによって、間接的にこういうことをしていることになる。 これは、図書館以外の行政のサービスにおいても同じことがいえる。「税金は社会の会費」といわれることがあるが、「税金は誰かのための募金」という側面もあるのかもしれない。

 これらのことを通して、僕は、税が身近なところで役立っているということを実感することができた。当たり前すぎて気付かないだけで、他にも税がもたらす恩恵を数多く受けていることだろう。 いずれ僕も消費税だけでなく、所得税など様々な税を納めることになるはずだ。そのときには、自分が納めた税が誰かを助けていること、またみんなの税が自分を支えてくれていることを、忘れないようにしたい。