私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府知事賞
助け合いの税制度

学校法人明徳学園 京都明徳高等学校 1年
 宮田 梨里

 税金で一番身近に感じるのはやはり少額ながら頻繁に支払っている消費税だと思う。単純な感覚としては欲しいものを実際よりも割高の料金で購入しているようで正直残念な気持ちになる。 だけどそれは普段から税の使い道についてなどしっかりと考えたことが無かったからだ。

 税金は私達の暮らしの多くを支えている。税制度の無い社会とはどんなものかと想像してみると、まず生活する上で不可欠な上下水道が整備されておらず、病気になってもまともな医療が受けられず、 火災や自然災害などに巻き込まれても誰も助けに来てくれない、犯罪者は捕まらない、極端な発想ではあるがまさに地獄のような世界。

 そうならずに済んでいるのは税の仕組みのおかげなのだろう。例えば私や私の家族は滅多に病気をしない。ここ5年以上は家族の誰も病院に行っていない。これなら健康保険料を払う必要ってあるのか。 と考えてしまいそうになるが、我が家が支払った健康保険料は頻繁に病院に行く必要がある誰かの役に立っている。私個人で考えると、幼稚園と高校は私学に通っており、母親に聞いたところ、 幼稚園の学費にも補助があり、現在通う高校の学費にも補助がでているそうだ。この税金は子供のいる家庭のみが支払っているものではなく、そうでない家庭の方々からの税金でもある。 そんな風に今私も自分でも気付いていない部分で支えられていたり、これからの将来、税金に助けられることがまだ沢山あるだろう。つまり税の制度とは自分が必要だから支払う、 自分に関係ないから、身近でないから支払わない、と言ったものではなく、助け合いの制度なんだと思う。

 ここで少し海外のことに目を向けてみるとしばしば賞賛を耳にする北欧の税制度は日本とどのように違うのか気になった。調べてみたところ、北欧では日本に比べて税金の負担率が高く、 その分教育や医療などに特化した手厚い社会保障サービスが提供されているようだ。逆にアメリカなどの社会制度は低福祉低負担と呼ばれ、基本的な生活は国民の自己責任とし、税金や社会保険料は安くなっている。 どちらが良い、悪いということでなくそれぞれの国に合った税制度があるだろうと思うが、他国の良い制度で日本にも合うものがあれば取り入れたりして、日本の税制度をより良いものに変えていくこともこれからの社会では必要だと思う。

 素晴らしい助け合いの制度なのだから良い所はそのままでより必要としている人に必要な分だけ届くように無駄の無いように、そして何より少子高齢化における税の不安が少しでも解消されるように、 制度が見直されていって欲しいと思う。そのためには私達国民ひとりひとりが普段から税制度に関心をもち、しっかりとルールを守って納税することを心がけることが大切だと思う。