私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
みんなで支え合う安心

京都産業大学附属高等学校 2年
北川 千尋

 「また値上がりしてる・・・」母が買い物から帰ってくるたびに、そんなため息をつくようになった。テレビでは連日、食品の値上がりのニュースが流れ、母は消費税の負担について頭を悩ませていた。 「毎日消費するものにかかるお金が増えると困るのよ」と言う母の表情は疲れて見えた。そんな日々の中で、私は疑問を抱くようになった。なぜこんなにも税金を払わなければならないのだろうか。

 その答えを、私は思いがけない体験を通して見つけることになった。夏休み中のある日、ゲームセンターで夢中になっていた私は、うっかり財布を置いたまま席を離れてしまった。戻ってみると財布の中のお金がなくなっていた。頭が真っ白になり、震える手で警察に連絡した。

 事情を聞かれた時、私は不安で泣きそうになり、言葉に詰まってしまった。すると、担当の警察官の方が優しく「大丈夫。ゆっくりでいいからね」と声をかけてくださった。その温かい言葉に、少しずつ気持ちが落ち着いていった。 さらに、私が不安にならないようにと、疑いのある人と私を合わせないよう配慮してくださった。警察官の方々の丁寧で思いやりのある対応のおかげで、不安な気持ちから安心感を取り戻すことができた。

 この時初めて気がついた。警察官の方々が私のために時間を割いて、親身になって対応してくださったこの瞬間も、これまで多くの人々が納めてきた税金によって成り立っているのだということを。私の安心は、見知らぬ誰かが納めた税金の恩恵だったのだ。 税金とは、みんなでお金を出し合って、お互いの安らぎを得るためのものなのだと実感した。一人では解決できない問題も、社会全体で支え合うことで乗り越えることができる。

 この経験以降、日々のニュースで税金の話がでてきた時、私の見方は大きく変わった。「これは未来の私とみんなが安心できる投資なんだ」と思うようになったのだ。道路の整備、病院の運営、学校教育、災害時の支援これらすべてが私たちが納める税金によって支えられている。 母が心配している消費税も、社会全体の安心と安全を守るために必要な負担なのだと理解できるようになった。

 将来、私も納税者になる。正直なところ、父や母が背負っている税金の重さはまだ実感できない。しかし、一つだけ確信していることがある。私がお金を納めることで、困っている誰かの安心が得られるなら、それは意味のあることだということだ。

 税金は確かに負担だ。しかし、それは同時に、私たち一人ひとりが社会の一員として、お互いを支え合うための大切な仕組みでもある。あの夏の日に警察官の方がくださった安心を、今度は私が誰かに届ける番なのだと思っている。