私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
当たり前を届ける税

京都教育大学附属高等学校 1年
西村 和希

 私は母子家庭で生まれ育った。母親の収入が高かったわけでもなく、多くの貯金が家にあったわけでもなかったが、この十五年間生活に困ったことはなかった。我慢を強いられることもほとんどなかった。 母子家庭でもあるのにも関わらずこのような生活が送れているという事実にありがたみを感じるようになったのは中学生になってからだ。中学生になると自分ひとりで病院に行くようになった。その時、初めて自分の医療費が無料になっていることに気が付いた。 これは、ひとり親家庭等医療費助成制度という福祉制度によるものだ。この他にも児童扶養手当制度を含め様々な補助金や支援がなされていた。生活していくだけのお金があると思っていたのはある意味勘違いだったのかもしれない。 おそらく母親の収入だけで生活をしていこうとすると食べていくことに精一杯で、私がこのようにして高校生として作文を書く機会を与えられることはなかっただろう。病気になっても病院に行くことを我慢させられていたかもしれない。 こう感じると同時に、私がこのような当たり前の生活を送れてこれたのは、国や地方自治体のおかげであること、またそのお金は税金によるものであったことを知り、感謝の気持ちを抱いた。

 しかし私の想いとは反対に、自分とは関係のない人の生活を支えるために自分の大切なお金を税金として納めることに抵抗を感じるという人もいる。確かに、前述した私の経験談における恩恵は大半の人が受けることのないものだ。 同じ税金を納めているにもかかわらず、人によって見返りに差異があるのは理不尽と言われても仕方が無いだろう。ただ、誰しも人より不利な状況になりたくてなっているのではない。少なくとも私は、自ら望んで母子家庭という環境で育ってきたのではない。 つまり、誰もが助けてもらう側になる可能性を持っているということだ。これは、いわば「保険」のようなものだ。

 よって私は、税金とは全ての人々に当たり前の生活を届けるための保険という役割を担っているのではないかと考えた。勿論、税金の役割はこれだけではない。 しかし、私はこういった普通の人々では実感することの出来ない経験を通して、税金の役割を更に多く知ってもらい、税金の大切さを感じていただきたい。