私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
アメイジングの存亡

学校法人共栄学園 京都共栄学園高等学校 2年
梅本 礼

 2023年四月、日本政府は新型コロナウイルスによる入国制限を解除した。たちまちインバウンドは急回復し、 メディアは日本を楽しむ彼等へのインタビューで溢れている。「日本で驚いた事は何ですか。」

 そう聞かれると、彼等は答える。

 「道にゴミが無く街全体が清潔」「治安が良く子供一人で道を歩ける」「レストランで出される無料の水」 そして「日本はまるで『夢の国』この国に住める日本人を本当に羨ましく思うよ。」と言う人もいた。 私達にとって当たり前の事を、彼等はアメイジングと言った。では、なぜこの様な事が出来るのか。 それには税金制度が大きく関わっていると思う。しかし、お金さえあれば良い国が出来るのだろうか。 そう考えた時、私は日本人の国民性に秘密がある様に思った。そういえば、日本の大学院に通うナイジェリア人がこんな事を言っていた。

 「日本の良いところは日本人。一緒にいると勉強になる。とにかく極めるのが上手でこだわりに手を抜かない。だから日本製品は評価が高い。君達は誇りに思うべきだよ。」

 と。私は、日本の税金制度と日本人の気質が融合して唯一無二の国が成立しているのだと思う。

 ところが今、日本は重大な局面を迎えている。インフラの老朽化と人口減少による財源不足の問題だ。国土交通省によると、 我が国のインフラの多くは老朽化が著しく、建設後五十年を経過する施設の割合は加速度的に増加する見込みだそうだ。 記憶に新しいのは二年前に和歌山県で起こった水管橋崩落だ。その他にも、広島県で発生した西日本豪雨による砂防ダム決壊などがある。 また、2021年に総務省が公表した生産年齢人口は、2050年までに約二千二百万人も減少するという予想がなされており、近い将来深刻な労働力不足に直面すると言われているのだ。

 先月偶然、私は駅前の大通りで、水道管の破裂に遭遇した。水は縁石ブロックを持ち上げ、ゴボゴボと噴き出していた。 しかし、土曜日にも関わらず、数十分後には市役所の職員と作業員の二人が駆けつけ対処していたのだ。 つまり、今後税収と労働人口の減少で公務員や、水道工事の作業員が不足すれば、この様な行政サービスすら難しくなるだろう。

 そうならない為には、今すぐ限られた税の使い道を見直す必要がある。私としては自然災害に備えたインフラメンテナンスが最優先だと思う。 そして、私達若者に出来る事は、十八歳からの投票だ。立候補者の公約をしっかり理解した上で、選挙で国会議員を選べばいいのだ。 今の幸せを守るのも壊すのも、私達の意識に掛かっている事を忘れてはいけない。夢の国のバトンを繋ぐ為にも、私は将来しっかり働き、納税しようと思う。そして、三十年後もう一度尋ねてみよう。

「日本で驚いた事は何ですか。」