私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
安全な暮らし

京都府立莵道高等学校 1年
山田 彩凪

 「税金」という言葉を聞くと、何を思い浮かべるだろうか。ほとんどの人があまり良い印象を持たないのではないかと思う。

 ある日、ふと机を見ると「HPVワクチン」と書かれた封筒が置かれていた。HPVとは、女性であれば50%~80%は感染すると言われているウイルスで、がんになる原因である。 その中でも子宮頸がんは、毎年約2千9百人が亡くなっている。この封筒は、そんなウイルスのワクチンを受けることを勧めるお知らせだった。封筒の中に入っている紙を読んでいる時、 目についた文字が「高校1年生までは公費で接種を受けられます。」という文字だった。「無料なら早めに受けないと」と思ったくらいで、その時はあまり気にしていなかった。 心のどこかで学生のうちのワクチンが無料であることに当たり前を感じてしまっていたのかもしれない。病院でワクチンを受ける時、先生が色々と説明をしてくださった。 自分が受けるワクチンは90%も防ぐことができる、や、3回受けなければいけない、など。ワクチンを受けた後「公費」という文字を思い出した。 「公費」とは国家または公共団体の費用のことである。その費用のもとが、税金だ。有料の場合、自分が受けたワクチンでは全3回で約10万円はかかるらしい。 かなり高額な費用だ。もし自己負担であれば、ほとんどの人はワクチンを受けていないだろう。病気になるのが100%とは限らない。 しかし、予防をすることで約90%は防ぐことができる。税金によって今だけでなく、未来も支えられているのだ。

 税金はどこか難しいもののように思える。小学生の私は公園が税金によって使えることを知らなかった。お金は難しいものだと思っていた。 では、今の小学生は税金についてどこまで知っているのだろうか。ネットで税について調べると小学生には難しい言葉ばかりであると個人的には思う。 周りの大人の声に耳を傾けると、「税は嫌なもの」という意見ばかりだ。そのイメージがついてしまっているのではないだろうか。お金について考えることは生きていく上で大切だ。 計算もそうだが、お金のありがたみや、働かなければ得られないということ。そして、すべてを自分の娯楽のためだけに使うのではなく、 私たちの生活を支えていくものでもあるということ。税金について深く理解をしていない人たちが税金に対して文句を言っていても、 全く信用性がない。まずは自分の暮らしに税金がどれだけ大きく関わっているのかを知るべきだ。

 私は「税金」という言葉を聞いて、今は、「安全な暮らし」という言葉を思い浮かべる。税金は私たちの暮らしに欠かせないものだ。